2025年4月14日月曜日

外薗 昌也

漫画家の外薗昌也さんの初期作品には、プログレなネタが満載との噂を聞きつけ、古書のコミックを4冊ばかり購入したのが10数年 前でしたが、なんとギャグ漫画『鏡四郎がゆく !』(1984年)で、The Snow Gooseのレコードが取り上げられており、当時、私は小躍りした次第です。

さて、最近、Amazonを散策していて、外薗昌也さんの作品を多数発見してビックリ。私は存じあげてなかったのですが、近年は、ホラー漫画の分野でご活躍のようです。

懐かしく思い、この度、1980年代の作品群の捕獲を試みました。


1. ギャグ漫画

  • 『鏡四郎!鏡四郎!』 (1982年) 秋田書店
  • 『鏡四郎がゆく!!』 (1984年) 大都社
気弱な少年の安藤くんに、破天荒な鏡四郎が絡む、シュールなドタバタ・ギャグ漫画です。同じ少年チャンピオンで例えれば、鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」に近しいかと。
「マカロニほうれん荘」がハード・ロック路線なのに対して、こちらは、プログレ愛がダダ漏れです。

この頃は、「外園昌也」と、草冠が無い園の字で表記されていました。 

  • 『大和撫子遊撃隊』 (1989年) 白泉社

正義感溢れる最強スケバンが校内の揉め事を解決していくお話です。シュールな『鏡四郎!鏡四郎!』と比べると、あっけらかんとしていて、気楽に読めます。

2. ラグナ年代記シリーズ

  • 『ラグナ通信』 (1983年) 東京三世社
  • 『青の時代』 (1986年) 白泉社
  • 『ラグナ戦記』 (1985年) 白泉社
  • 『雨の法則』 (1986年) 白泉社
  • 『やさしい機械』 (1988年) 新書館
  • 『ラグナ通信』 (2002年) 大都社
※きのこ人間が住む異世界「ラグナ」を舞台に、誠一郎、きのこ人間ナサニエル達の楽団メンバーが織りなす幻想的な物語です。SFに分類できるかと思いますが、神秘的で不思議な読後感が残る作品です。 
【補足】前掲左のモノクロ画像ですが、「すっげえっ!!」と言ってるのが誠一郎、その左がきのこ人間のバンド・メイト達です。おじぎしている面々はユニヴェル・ゼロです。

3. その他のSF作品


  • 『SILENT RUNNER』(1985年) 白夜書房
  • 『V・O・I・C・E』(1986年) 白泉社
  • 『V・O・I・C・E PART2』(1987年) 白泉社
  • 『最後の竜に捧げる歌』 (1989年) JICC出版局
『SILENT RUNNER』はサイバーパンク映画の名作「ブレード・ランナー」の影響を受けて創作したと記載されています。また、『V・O・I・C・E』は歌で人の心を揺さぶり導くことで人類の滅亡を防ごうとする救世主の物語、『エンヴリオン 』は資源が枯渇し滅亡に瀕した人類が直面する試練を描いた作品となっており、いずれもラグナ年代記シリーズと比べると、SF率(?)が高くなっています。
一方、『最後の竜に捧げる歌』は、手塚一郎さんの同名小説を漫画化したもので、竜が統べる神話の世界から覚醒した人の世に移行する様を描いたファンタジックな物語です。   


気づいた限りですが、前掲の初期作品群から、プログレ由来の部分を御紹介します。
漏れがあっても、笑って許してください。

1. 作品タイトルや登場人物名がプログレ

    (1)「今夜は音楽祭です」 (『ラグナ通信』収録)

音楽祭にユニヴェル・ゼロが参加しています。

    (2) 「Acqua Fragile」 (『雨の法則』収録)

タイトルはイタリアのバンド名から拝借したと著者が記述しています。

    (3) 「やさしい機械」 (『やさしい機械』収録)

ちなみに、カットアップは使用せず、やさしいお話になっています。

    (4) 「リレイヤー」 (『V・O・I・C・E』収録)

タイトルはYesですが、登場人物の名前がフリスとラヤダー(ロボット)です。

2. 扉絵がプログレ

    (1) 『鏡四郎!鏡四郎!』第八話 なぞの新入部員 !!の巻

※ちょっと分かりにくいですが、某Eno作品です。

    (2) 『鏡四郎がゆく!!』 第五話 怪獣退治はおまかせ !! の巻

※説明不要ですね。

3. レコード等がモロ出

    (1) 『鏡四郎がゆく!!』 第四話 演歌VSロック !! の巻

 

※レコード店が舞台となっており、CamelのThe Snow GooseやNovalisのAugenblickeが出てきます。

    (2) 「NOSTALGIA」 (『雨の法則』収録)

※ドライブ中に、カセット・テープでCamelのMoonmadnessを流します。Air Bornをイメージしたイラストが描かれています。

4. 鏡四郎は無節操にプログレ

    (1)  エプロンがプログレ

※Camelはともかく、Celesteが渋いですね。 

    (2)  ディスコでもプログレ

※変拍子ではなく4分の4拍子または2分の2拍子のようです。

    (3)  貼紙や落書き等がプログレ

※「Camel」は、あちこちのコマで見受けられますが、その他に、Brian Eno, Penguin Cafe Orchestra, Van der Graaf Generator, Peter Hammill, Popol Vuh, Slapp Happy, Yes, Genesis, King Crimson, Anthony Phillips, Locanda delle Fate, Mike Oldfield, Magma, Guru Guru, Queen, Goblin, David Bowie, Art Zoyd, Nektar, PFM, Strawbs, Steve Hackett, Egg, Osanna, Angeなど多々。画像掲載は断念 !


外薗昌也(ほかぞの まさや)

ウィキペディアによれば、月刊少年チャンピオン・ニューまんが賞ギャグ部門の佳作を受賞した『鏡四郎! 鏡四郎! 』で、1980年にデビュー。この時19歳(1961年生まれ)。

80年代は、ファンタジックな作風のラグナ年代記シリーズを執筆。ちなみに、kindleで購入・試し読みできます。

90年代は、絵柄や作風を変えて、『ワイズマン』、『犬神』『Dr.モードリッド』等の作品を連載したことで知られています。

最初に記載したように、近年は、ホラー漫画の分野でご活躍されています。